[かのかり妄想] パンプキンケーキ②
次の日、瑠夏が千鶴の部屋を訪ねた。
瑠夏「あのケーキは私が食べました。和也がくれたんです。」『和也を後押ししたのは千鶴さんですからねっ』
瑠夏ちゃんは大きめの声でそういいながら、用意してきた袋を千鶴さんに向かって投げつけた。瑠夏ちゃんは、パンプキンケーキが入っていたものと全く同じタイプの袋を用意してきたのだった。
千鶴「……」
数日後…。千鶴は和也のもとを訪れた。
千鶴「パンプキンケーキのことだけど…。」「あ」「げ」「た?」
和也「あげてない」
和也は首を横に振り、それを否定した。千鶴はほっとしたようだ。
千鶴が一人で立っていると、そこへ和婆さんがあらわれた。
和婆「和也からパンプキンケーキのこと聞いておるじゃろ。あれはワシが千鶴姫のために作ったんじゃ。もし和也があのケーキを独り占めしたとしても、ケーキがもう食べられないなどと思ってくれるな。千鶴姫のためなら、パンプキンケーキはワシがいつでも作る!」
千鶴「……」
千鶴は目に涙を浮かべながら、黙っている。
瑠夏が一人で座っていると、そこへ麻美があらわれた。
麻美「和さんが作ったパンプキンケーキがあなたのものになるって言ったらどうする?」
麻美「千鶴さんはパンプキンケーキに興味がないって言ってた。でも急に興味を持って、和さんのケーキが千鶴さんのものになって、「対あり」でしたなんて言われたらつらいよね?」
瑠夏「それって、千鶴さんが和おばあちゃんのパンプキンケーキに興味がないことをばらすってことですか?」
瑠夏(もし千鶴さんがケーキに興味がないっておばあちゃんが知ったら、私のものになるかもしれない。でも本当のことを知ったら、おばあちゃんが悲しむかも…。)
瑠夏が和婆さんのもとを訪れた。
瑠夏「聞いてもイイですか?パンプキンケーキのこと…」
和婆「あれは、千鶴姫に食べてもらいたいと思って作ったんじゃ。でも千鶴姫が食べんでもええ。千鶴姫がおいしいものを幸せそうに食べおったら、それでええんじゃ。」
瑠夏(おばあちゃんは千鶴さんのこと本当の娘のように思ってる。かなわない。でも、私にはあのケーキしかない!あのケーキなら私もかぼちゃを食べられる。千鶴さんが食べなくても良いっておばちゃんが言うなら私にもチャンスはあるかも。おばあちゃんにそんな風に思ってもらうには…私はどうしたらよいのかな?)
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